①サービス付き高齢者向け住宅
高齢化が急速に進む中で、高齢の単身者や夫婦のみの世帯が増加しており、介護・医療と 連携して、高齢者を支援するサービスを提供する住宅を確保することが極めて重要であるにもかかわらず、サービス付きの住宅の供給は、欧米各国に比べて立ち後れているのが我が国の現状でした。
国土交通省は、2020年までにサービス付き住宅の割合を35%に高めるための主要施策として、「サービス付き高齢者向け住宅」を創設しました。
サービス付き高齢者向け住宅の供給促進については政府の新成長戦略にも盛り込まれており、2020年までに60万戸を目標に整備する方針を示しています。
(1)登録対象 | ●賃貸住宅もしくは有料老人ホームが基準を満たして都道府県に登録。 |
(2)登録基準 |
●床面積(原則25㎡以上)、便所、洗面設備等の設置、バリアフリー化。 ●最低限、安否確認と生活相談サービスの提供。 ●前払家賃等の返還ルール・保全措置が講じられていること。 |
(3)事業者の義務 |
●登録事項の情報開示。 ●契約前の書面での説明。 ●誇大広告の禁止。 |
(4)優遇措置 | ●建築・改修費の直接補助・課税面の優遇措置・融資要件の緩和等。 |
(5)指導監督 | ●住宅管理やサービスに関する行政の指導監督強化(報告徴収・立入検査・指示等)。 |
②住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームとは、民間事業者が運営する介護施設で、介護付有料老人ホームよりも 軽度の要介護者や、自立・要支援状態の高齢者を受け入れています。
施設内に介護スタッフが常駐していない住宅型有料老人ホームの特徴は、介護が必要なときには 訪問介護や通所介護などの在宅サービスを利用することで、要介護の状態になっても施設に住み続けられることです。
③介護付有料老人ホーム
介護付有料老人ホームとは、民間事業者によって運営される介護施設であり、要介護者を 受け入れて施設内のスタッフが介護する「介護専用型」、要介護者と健常者を受け入れて主に施設内のスタッフが対応する「混合型」、外部事業者による介護サービスを利用する 「外部サービス利用型」といった種類があります。
介護付有料老人ホームの特徴は、受け入れる高齢者の要介護度の幅と提供するサービスの幅がきわめて広く、施設によって異なります。
④その他の高齢者住宅・有料老人ホームの種類
種類 | 事業主体 | 特徴 |
ケアハウス | 地方自治体、社会福祉法人、NPO法人、医療法人 | 自宅での生活が困難な高齢者に対して、バリアフリーの居住機能と、食事や入浴などの生活サービスを提供する。賃貸方式が主流だが、費用は、月額7万円/15万円程度のところが多い。 |
軽費老人ホーム | 地方自治体、社会福祉法人 | 地方自治体などが運営する賃貸方式の高齢者施設。A型とB型の2種類があり、食事の提供があるA型は月に6万円くらい、食事の提供がないB型は月に3万円くらいほどが必要となる。どちらも入居金は不要。 |
介護老人保健施設 | 地方自治体、社会福祉法人、医療法人など | 介護を必要とする高齢者の自立を支援し、家庭への復帰を目指すために、医師による医学的管理の下、看護・介護といったケアはもとより、作業療法士や理学療法士等によるリハビリテーション、また、栄養管理・食事・入浴などの日常サービスまで併せて提供する施設。急性期の治療を終え、安定期にある要介護者が対象。 |
グループホーム | 民間企業、地方公共団体、地方住宅供給公社、都市再生機構 | 認知症の症状のある高齢者等が、少人数で共同生活を送る施設。家庭的な雰囲気の中で共同生活を送ることによって、認知症の進行を遅らせたり、落ち着いた生活ができるようにすることが目的。食事は施設職員と利用者が一緒に作り、食事以外も職員のサポートはあるが、自分でできることは入所者自身で行う。費用は食費、管理費、家賃、介護保険料(1割負担)を含め、月額20万円程度。 |
特別養護老人ホーム | 地方自治体、社会福祉法人 | 自宅での生活が困難な、常時介護が必要な人を受け入れる施設。施設サービス計画に基づき、入浴・排泄・食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能回復訓練、健康管理、療養上の世話を受けることを目的とした施設。医療サービスは行なわない。 (嘱託医による往診あり。)賃貸方式で、介護保険利用料の1割負担と食事代や雑費で、月に6万円/10万円程度。 |
高齢者向け優良賃貸住宅 | (高優賃) 民間企業、地方公共団体、地方住宅供給公社など | バリアフリー仕様の高齢者向け賃貸住宅。低所得者に対しては、家賃の補助があり、緊急時対応サービスなどの支援が受けられる。家賃補助制度があり、月額の家賃は5万円/12万円程度。敷金もある。 |
小規模多機能ホーム | 民間企業、社会福祉法人など | 介護が必要となった高齢者が、住み慣れた家・地域での生活を継続することができるように、利用者の状態や必要に応じて、「通い」を中心に「泊まり」「訪問」の3サービスを組み合わせて提供する在宅介護サービスです。 |